《MUMEI》
恋心
朝、僕はいつもと変わらない挨拶をアンリ様と交わしました。

そして朝食を召し上がって頂くと、スケジュールを御伝えします。

「本日は午後からヴァイオリンのレッスンがございます」

「うん、じゃあ後でまた練習しておくね」

アンリ様はドレスの裾を揺らしながら、御部屋に戻って行かれました。

僕は、食器を片付け終わると広間の掃除を始めたのですが──

「───────」

どうにも身に入りません。

アンリ様の事ばかり考えてしまうんです。

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