《MUMEI》
再会
俺は、毎朝、あの時間に駅で探してた
 
「逢える訳ないか…」

もうすぐ、研修が終わり、この駅にも、来れなくなるかもしれない…

他人のそら似だったのかも知れないし…
 
毎日、時間ギリギリまで捜してた 

ムダな努力だった
 
 
本社での研修は終わった
 
来週からは、配属される場所での研修になる
 
本社を出て、携帯を見るとメールが来てた

研修中は、サイレントにしてるから

エリからだ、

『研修おつかれ、
地元の友達に聞いたんだけどね、
ややこしい話しで、
詳しくは、会ったとき話すね
それと、麻美、東京に居るらしいよ、
見たの、マジ麻美かもね
会えるといいね
優斗、ガンバ』

『追伸、今からアキラの実家行くから、ちょっと連絡取れなくなるよ』

麻美が東京に居る!

俺は、駅で見たのは麻美だと、そう決め付けた

もしかしたら、帰りも、あの駅で、乗り換えするのかも

何の根拠も無しに、俺は駅に向かった
 
 
!最悪… 時間によって
到着ホームが違うんだ

これじゃ…探すのなんてムリだ!

俺は、あの日麻美を見たホームで、待つことにした…
来るあてのない人を…

あの日、反対側のホームの、あの場所に居たんだ
 …麻美…

滑稽だよね…

似た人だったのかもしれないし…

でも、何かせずにはいられなかった
 
 
午前0時をまわった…

冷静に考えれば、
なんてバカな事をしてるんだって、思う…

けど 他に、何も出来ない俺には…

…もう6時間も、ここに居るんだな…俺…

ホームに電車が来た

もうすぐ終電かぁ…

金曜の夜なのに、人が少ない、景気悪いんだなぁ…
 
電車が走り出した

こんな時間に居る訳ないよな…

何やってんだろ、俺…

ふと、あの日、麻美が居た場所を見た

 …幻覚か…  
俺の方を見てる、麻美が
居た…
 
! …麻美… 

俺「麻美!!」
俺は叫んだ 

俺「麻美だろ!麻美だよな!」

俺を見てた女が

麻美「優斗ぉ!!!」

俺を呼んだ!

間違いない! 麻美だ!
 
俺「頼む!そこに居てくれ!そっちに行くから!」

反対側のホームに電車が入って来て、俺の声がかき消される

俺は、階段を走り降り、
反対側のホームへ

階段を上り、麻美を探す

居た!

走り寄った!

俺「麻美、麻美だよね」
息が上がってた

麻美「…うん、優斗…ごめんね…」
 
麻美が泣き出した

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