《MUMEI》 回避経路教室に入ると、朝のホームルームが始まっていた。 そこで、一斉にクラスメイトの奴等から視線を受ける。 担任までも俺に視線を向けている。 遅刻…だからか? しかし、叱られる前のあの特有の険悪な雰囲気は感じられなかった。 「っす……。」 不思議に思いながらも自分の席へ向かおうとすると、 「滝澤颯馬君?」 担任の声が聞こえた。 入学から一週間以上は経つのに、 改めて名前を呼ぶなんて……。 怪訝に思いながら、 返事をした。 「なんですか。」 「本当に、君……。 まさか同姓同名だとしか思って無かったけど…。」 は? 何言ってんのコイツ。 改めて教室を見渡すと、 未だに皆から注目を受けている。 すると、成瀬と目が合った。 何ごとなんだ? 目で合図を送ると、 複雑そうな顔をして横に振るばかり。 「は?」 耐えきれずにそう言うと、うわぁぁあ!、きゃあ!と、声をあげられた。 それと同時に、 隣りのクラスからも同じような声が聞こえた。 前へ |次へ |
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