《MUMEI》
‐陸‐
何で‥

あんな事言ったんだろ‥。

思い出したんだ‥

急に‥。

あの時の事を‥。

「新木‥何か──」

「何も」

「そか‥」

「空‥晴れてきたね」

「──ぁ‥ホンマや」

小坂は雲の切れ間から差し込む光を眩しそうに見つめた。

「綺麗やね──」

「小坂、空見るの好き‥?」

「うん、好きや」

「──空も、いいよね」

2人で見上げる空は輝いて見える。

心に雨が降りそうな時──

隣りに小坂がいると光が差す。

雨雲が‥

消えていく──。

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