《MUMEI》 半裸「…何て格好で来るの?」 「すみません、何か、しつこくて… あ! でもちゃんと俺は志貴が好きだって言ってきましたから」 「別にいいわよ、そんな事。早く ちゃんと浴衣着なさい! みっともない」 「は、はい」 拓磨は慌てて浴衣を直し始めた。 別行動をとり始めて、ほんの五分程度しか経っていないのに、拓磨は俺達の所に戻ってきた。 それ自体は、予想していたから別に驚かなかったが 「何で…半裸?」 上半身裸だった拓磨に、俺は恐る恐る質問した。 「…引っ張られて、脱げた。 顔も知らない女子に」 『それ以上訊くな』 拓磨の目がそう言っていたから、俺はそれ以上何も言わなかった。 「祐也もこうなりたくなかったら、私の側にいてね」 「わ、わかった!」 背中を見られたくない俺は、思わず志貴の左腕にしがみついていた。 「あ、お前どさくさに紛れて何してんだ!」 「安全第一だ!」 「じゃあ俺こっち!」 拓磨は空いていた志貴の右腕にしがみついた。 「ちょっ… …もう。暑苦しいなぁ…」 志貴はため息をついたが、そのまま歩き始めた。 こうして、文化祭一日目が終了した。 前へ |次へ |
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