《MUMEI》 信用できる友達《情けないな》 「うるさいな、仕方ないだろ?」 文化祭の様子を報告した俺は、早速忍に嫌味を言われた。 《お前、本当にその女王様とは何もないだろうな》 「志貴とは友達だ。それに、俺はもう…」 『もう、誰かを愛したりしない』 《そうだな》 俺が口にしなくても、俺の気持ちを理解している忍はそれだけ言った。 《…普通は、お前位の年代は、恋愛に興味があるんだけどな》 「それは、仕方ないだろう?」 《わかっている。それより、演劇の衣装、お前、大丈夫なのか?背中は》 「夏休みに、守に特訓してもらうから」 今年は合宿しなくても、余裕で文化祭に間に合う状態だった。 ただ、俺の衣装は 女物の着物だから、守から着付けと基本動作を徹底的に教わるつもりだった。 《着物屋の息子に見せるのか?》 「教わるだけだ」 守は友達だし、俺が一人で着付けをしたいと伝えたら、心よく応じてくれた。 《信用できるのか?》 「できるよ」 守は、俺をからかうような事はするが、俺が本気で嫌がる事は決してしなかった。 だから、俺は自信を持って『できる』と答えた。実際、守『は』信用できた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |