《MUMEI》
起床
「おはようございます。学校へのお時間です。言葉様」
「分かった。今起きる。あと5秒待ってくれ」
彼女は、織(おりの)瀬(せ)神(かぐ)弥(や)。執事の中でも生粋の執事と言えよう。
「5秒経ちましたが?」
「そうか」のそのそとベッドから起きてきた。
「朝の紅茶をどうぞ」ティーカップをそっと渡した。
「いつもありがとう」
「いえ、それでは今日のスケジュールについて説明させていただきます」
「あぁ」紅茶をすすりながら、聞くことが私、鏡熾(きょうさか)言葉(ことは)の一日である。
「今日は、4時からウエスト株式との会談と6時に久(ひさ)信(のぶ)様との会食にございます」
「めんどくさいな。どちらもあまり楽しい会にはなりそうにないな」
「そうですね…如何なさいますか?言葉様」
「…加賀に任そうではないか」
「かしこまりました。では、副社長の加賀様にお伝えしておきます」
「頼んだ」
「それでは、食堂へ行きましょう。朝食の準備はできております。しかしその前に服を着替えてください」
そう言いかけた神弥を一瞥し、一瞬にして学園指定の服に着替えていた。
「あいかわらずだ」ドアに向かう言葉の後ろを歩く神弥が答えた。
「…何がでしょうか?」ドアを開いた。
「お前は何事も仕事に熱心に取り組み、私のことを一番に考えてくれている」ドアをとおり、食堂に向かう。
「褒め言葉として受け取ります」ドアを静かに閉める。
「そうしてくれ」

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