《MUMEI》
緋色の彼岸花
◆◆◆

「おい、お前もそっちちゃんと掃けよ」

「──分かってるわよ。‥気分落ち込んでるんだから‥あんまり話しかけないで」

「──────‥」

少し前から‥

こいつはずっとこんな感じだ。

雨で花が散ったのを‥

やけに気にしてる。

「そんなにへこむこたねーだろ‥?」

「煩いわね‥ほっといてったら」

「彼岸花なんてあんましいいもんじゃ──」

「黙っててっ」

「‥何だよいきなり‥」

「あんたには‥何でもない花かも知れない‥。でも私には大事なの」

◆◆◆

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