《MUMEI》

チャイムと同時に──

みんなが教科書を片付け始める。

「小坂」

「‥ぇ」

「貸してあげる」

「‥ノート‥?」

「授業中、写してなかったみたいだから──」

「ぁ‥」

小坂は気まずそうに俯いた。

「ごめん、ちょっと‥何かボーッとして‥」

「写し終わったら──机にでも入れておいて」

「ぅ、うん‥おーきに──」

小坂はおずおずとノートを受け取った。

照れてるみたいだったけど──

何だか嬉しそうだった。

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