《MUMEI》

楽譜を買って御邸に戻って来ると、僕は紅茶の支度に取り掛かりました。

アンリ様は広間のソファに腰掛けて新しい楽譜に記されている音符を目で追いながら、愛らしい旋律をハミングしています。

「素敵なメロディですね」

そう言うと、ハミングが一旦止んで、アンリ様は僕に微笑み掛けました。

そしてまたハミングを始めます。

その様子を屡々見つめながら、シフォンケーキとジャスミンティーをテーブルに運びました。

「支度が整いました。どうぞこちらに御掛けになって下さい」

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