《MUMEI》

紅茶をお召し上がりになりながら、アンリ様は屡々、僕の方に視線を向けられるのですが──

「どうなされました‥?」

「──ううん、ただ‥リュート元気がないみたいだから‥」

「いえ、そのような事は──」

「本当に大丈夫?」

「はい」

僕はアンリ様に微笑み掛けました。

心配を掛けたくはありませんから。

それにこの気持ちは、今はまだしまっておくべきなのでは無いか、と。

唐突に打ち明けてしまっては、アンリ様もきっと困惑なさるでしょうから──‥。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫