《MUMEI》

周哉たちが教室に入ると、昇が待っていた。
「おー、遅かったな周哉。それに秋穂ちゃんも」
昇は今度は秋穂の名前を間違えなかった。
「今度は間違えなかったな」
「うるせー、しょうがねぇだろ」
「まあな」
「あの、昇君」
また、秋穂が周哉と昇の話に割り込んで昇に話しかけてきた。
「え?オレ?」
少し驚く昇。
「はい。あの、私って麻耶ちゃんに似てますか?」
秋穂はかなり麻耶に対して興味を持ったらしい。
「麻耶ちゃんに?」
「はい、どうですか?」
「似てる、そっくり」
昇は即答した。
「実はね、初めて教室に秋穂ちゃんが来たとき、本当に麻耶ちゃんが来たのかと思った。それ位そっくり」
「そんなに・・・」
「うん。それと、多分ね、奈々と春ちゃんに聞いても同じ事言うと想う」
昇が更に付け足す。
「周哉が、初めて秋穂ちゃんのことを見たときも凄い驚いてたんじゃないの?」
昇の言ってることは正しい、と周哉は思った。
実際に周哉は秋穂のことを見たとき、秋穂に向かって「麻耶」と言ったことがある。
「まぁ、家に帰ったら写真でも見せてもらいなよ」
昇がそう言うと、秋穂は、
「絶対に写真見してね」
と強く言ってきた。

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