《MUMEI》

「蓮翔ちゃん!」


俺は蓮翔ちゃんに追い付くと、
大声で蓮翔ちゃんの名を呼んだ。


すると、肩をビクッと揺らせながらゆっくりと蓮翔ちゃんが振り向く。


声の主が俺だと分かると、
安心仕切った様子でため息をついた。


「取りあえず抜け出すか?」


俺の言葉に、
蓮翔ちゃんは大きく頷いた。




校舎を出て、
校門をくぐり抜ける。


そうして、
行く宛もなくひたすら走った。


「この位で十分じゃねぇか?」


だいぶ結構な距離を走ったため、
蓮翔ちゃんは肩を大きく上下させている。


表情は険しく、息はかなり乱れていた。


そんなに走ったのか?


ふと立ち止まって後ろを振り返ると、
学校は全く見えなくなっていた。


そこでようやく自分も息が上がっているのに気付く。


「そうだな。」


俺達はその場で軽く息を整えると、
ゆったりと歩き出した。

「お前、本当に体力あるよな。」


「まあな。」


「そこは控え目に、そんな事ないよ〜だろ?」


「……キモ…。」


「うっせ!」


なんて、他愛の無い会話を交わしながら。

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