《MUMEI》

俺達は取りあえず、
近くにある公園に入ることにした。


公園は、平日で朝方なこともあって人一人おらず、
ガランとしていた。


俺達は公園の奥にある大きな木の下へ入ると、
仰向けにねっ頃がって、
空を見上げた。


空は快晴で、
一点の曇りも無かった。

そこで、あることを思い出す。


「蓮翔ちゃん。」


「ん〜?」


蓮翔ちゃんは気持ち良さそうに伸びをすると、
顔だけこちらに向けた。

「今朝の新聞見たか?」


「…見た。

アレ、いつ撮ったんだろうな。」


その言葉に今朝の新聞の、
俺達が載っていた一面を思い浮かべた。


それは、
フェンス越しに俺と蓮翔ちゃんが話している写真だった。


見出しには、
“意外!硬派なあの二人が親しい仲だった!?”
なんて書かれていた。


思い出すだけではらわたが煮えくり返りそうだ。


「ただの練習試合だし、
メディアは俺のチームのベンチにはいなかったぜ。」


「…そうか……。」


「まさか、ギャラリーが盗み撮りしたのかな?

そんでメディアに売ったとか?

颯ちゃん、一緒に訴えるか?」


そう言って、冗談だよ、とケラケラ笑う。


その時俺はピンときた。

「…あいつらか…。」

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