《MUMEI》

「──小坂‥」

「‥?」

「さっきは──ごめん。急に」

「ううん、注意してくれておーきに」

「小坂‥?」

「新木の言う通りやもん」

ウチが笑いかけたら──

新木は安心したみたいに‥

ちょっとだけニッコリした。

「──ぁ」

「どないしたん‥?」

「秋茜」

「ぇ‥?」

新木が指差した方を見たら──

赤とんぼが飛んでるのが分かった。

「ゎぁ──」

何か久し振りに見た気がする──。

まさに秋て感じがした。

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