《MUMEI》

「‥‥‥、ぇ‥?」

小坂は意外そうな反応をした。

確かに‥

いきなり言われたらビックリするかもな‥。

でも──

いい事を思い付いたんだ。

「止まらせてあげる」

「ええよ、逃げてまうから──」

「大丈夫」

「‥‥‥‥‥‥‥」

小坂は渋々──

人差し指を差し出した。

僕は羽をそっと抓んで‥

秋茜を小坂の指先に降ろした。

「──ゎ‥、止まった‥!」

「──ほら、『大丈夫』だっただろ?」

「うんっ。おーきに♪」

こんなに燥ぐ小坂を見たのは初めてだった。

嬉しくて──

僕も燥ぎたい気分になった。

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