《MUMEI》
・・・・
 五年前は、町は田畑もいたるところにあり、山も川も透き通った冷たい水が流れていた。田舎だからと言って都会に憧れたりしたことは一度も無い、町は団結しており一つの大きな家族となっていた。
 それが、これだ。
 「ははっ!なあ、今日はゲーセンで潰してこうぜ、おごるからさ」
 「タンマ、今日は母さんが早いんだ!だから今日は無しにしてくれよ」
 歩道のど真ん中を我が物顔で闊歩しジュースを片手に大声を張り上げる学生が二人。髪は染められ、だらしなく制服を着ている。
 その二人を避け、歩道の端を逃げる様にして歩いていく老人たち。そんな年寄りの心遣いすら気付かず二人の学生は去っていった。
 「・・・・」
 そんな光景を俺はしかめっ面で眺めていた。

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