《MUMEI》 「綺麗──。満月だね」 「そうですね」 あまりあの月を見たくは無いのですが──、御喜びになるアンリ様の表情に気付いてしまってはどうする事も出来ません。 ですがこのまま覚醒すれば、僕は牙を立ててしまうでしょう。 どうすれば‥。 「リュート、どうし──‥」 アンリ様の御言葉を遮ったのは、僕でした。 「──直ぐに戻ります」 それだけを言って、一旦僕は広間から出ました。 深く深呼吸をして壁に凭れると、少しの間目を閉じて自分に暗示をかけていました。 せめて、アンリ様が御休みになられるまでは我慢しなくてはなりませんから──。 前へ |次へ |
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