《MUMEI》 ・・・・歩き続ければもっと酷いものに出くわした。それはコンビニのまえでガヤガヤと騒ぎ立てる学生たちだ。自分たちの非をまったく自覚しておらず、その場所が自分たちの居場所だと誤認している。 そしてそれを注意することもなにもせずただ素通りしていく大人たち。上に位置するはずの大人たちは年端もいかない子供に恐縮し、何かされるのではないかと怯えている。 昔は、こんなことはなかった。いけないものはいけないと、他人の子供であろうと悪いことは悪いと叱ってやる。それが五年前にはあった。 もう、見ていることは出来ない。明らかに悪い方向へ進んでいるものを、見過ごすなんてことは許されない。 俺は努めて穏やかな口調で地べたに座っている学生に声をかける。 「おい、ここはお前たちの家じゃないんだ。そういうことは別の、自分たちの家に帰ってするんだ」 輪の中心には食べカスや袋が散乱している。どこまで汚せば気が済むのか、そもそも片付けるつもりはあるのか、それすらも疑わしかった。 急に会話に水を差してきた部外者の俺を見上げ、学生たちはあからさまに嫌そうな顔を見せた。 前へ |次へ |
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