《MUMEI》

問題を示しては新木が色々教えてくれるんやけど──

「小坂‥?」

「ぇっ」

ウチはどうにも‥

集中力が足りひんらしい。

「ごめん‥‥もっぺん教えて‥?」

「いいよ」

新木はさっき言うてた事を‥

また繰り返してくれた。

「新木、本読むから読解得意なんやな──」

「ううん、得意って訳じゃ‥ない」

新木はちょっぴり照れとるみたいに見える。

「可愛い‥」

「──ぇ」

「‥ぁ、ごっ‥ごめん‥!」

≪クスッ≫

「そんなに慌てなくていい」

「ぇ、でも‥今、ウチ‥」

「悪くないから」

新木はそれだけ言うて──

教科書に視線を戻した。

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