《MUMEI》 「御代わり、御持ち致しました」 僕が2杯目のチョコラテを差し出すと、先程と同じようにアンリ様は微笑んで、嬉しそうにしながら甘い表情を浮かべています。 僕の中では次第に、抑えるという感情が薄れ始めていました。 「───────」 抑える事が出来ないのです。 満月の夜だけは。 「──御許し下さい」 「ぇ‥」 アンリ様は振り向こうとして、固まったかのように動かなくなりました。 御自分の首筋に突き立てられた鋭利な物。 それが僕の牙だと気付くのに、時間は掛からなかったようです。 前へ |次へ |
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