《MUMEI》

「ほな、抜き出すんは──第2段落のここ‥?」

「うん。当たり」

僕が言うと──

小坂は凄く嬉しそうに笑った。

小坂は飲み込みが早くて──

ボーッとして聞き逃したりしてなければ頭に入るみたい。

次の問題をせがまれてあたふたしてると‥

ふいに風が横切って‥

無造作にページを捲っていった。

「中、入る?」

「新木が寒いんやったら──」

「僕は平気」

「ほな、ここがええな──」

「分かった」

僕達は‥

また勉強の続きを始めた。

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