《MUMEI》 旦那様と治人様なら 二人なら 男性二人がかりでなら 昭人様を止められる そう、私と大奥様は思っていました …それなのに 『『…』』 私と大奥様は、言葉を失いました。 部屋の中には 部屋の床には 既に動かなくなったお二人の体が 死体があったのです。 その血は赤ではなく、赤黒く変色しておりました。 『親父を殺したのは、治人だ』 !! 私は大奥様をかばいながら振り返りました。 そこには 大量の返り血を浴びた昭人様が立っていました。 『後は…お前達だけだ』 お屋敷にいた最低限の女性の使用人達は 皆 昭人様に、殺されてしまいました。 『どういう事です?』 大奥様は、私の後ろから問いかけました。 その声は、いつもの凛としたお声ではなく 蚊の鳴くような 弱々しいお声でした。 しかし 声も出ずに震えるだけの私に比べたら 大奥様は、御立派なお方でした。 そして 本当に 優しい、お方でした。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |