《MUMEI》 「…私が知っているのは、それだけです」 「小早川雅人(まさと)氏を殺害したのは、長男・治人で、治人に殺されそうになった昭人が逆に治人を殺害。 発狂した昭人が使用人全員を… 失礼」 警部さんが私を見て、咳払いをしました。 「あなた以外の使用人全てを殺害。 あぁ、…これも違った。 既に頼子(よりこ)さんが渡した毒薬で、死んでいるであろう櫻さんと、あなた以外、…でしたね?」 私は静かに頷きました。 旦那様のお名前は雅人様 そして 私の命の恩人の大奥様のお名前は、頼子様でした。 「それから、これは、あなたの知らない、我々が知る事実ですが…」 「大奥様の事ですか?」 警部さんは頷きました。 「大奥様は、…どうされたんですか?」 私は祈るような気持ちで、警部さんを見つめました。 前へ |次へ |
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