《MUMEI》

「…屋敷の焼け跡から発見されました」

「焼け跡?」


小早川家が


あの立派なお屋敷が燃えてもう無いというのが、私には信じられませんでした。

「大奥様…は?」

「…焼死体で発見されました。損傷が激しく…

とても…

直視できる、状態では…」

「本当に大奥様ですか!?」


私は思わずベッドから立ち上がり、警部さんのシャツを引っ張りました。


「晴香さん。使用人の人数を覚えていらっしゃいますか?」

「もちろんです!」


最終的に屋敷に残っていたのは、長年小早川家につかえてきた


私の、大切な仲間達なのですから。


「名前も年も誕生日も、全部覚えています!」

「いや、そこまでは…

人数だけ、教えて下さい」

「私も入れて十人です!」

「櫻さんは、入っていますか?」

「あんな子、入っていません!」

「では、九人ですね」


感情的になる私に対して、警部さんはどこまでも冷静でした。


そして、静かに告げました。


「遺体は全部で十二人です。

うち、男性は二人です」

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