《MUMEI》

「アンリ様?」

昨晩の事を‥覚えてらっしゃらないのでしょうか──。

「どうしたの?」

「───────」

本当に覚えてらっしゃらないのでしょうか‥。

「リュート、貴方──」

「朝食を──御召し上がりになりますか」

「うん──」

アンリ様はぽかんとしながら頷かれました。

扉の外側でアンリ様が御出ましになられるのを待っていると、

「──ごめん、お待たせ」

アンリ様は淡い桜のような色合いのドレスを纏って出て来られました。

アンリ様は、このドレスがよく御似合いなんです。

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