《MUMEI》 新木は‥ 何でかあんまり気乗りせぇへんかったけど── 否定はしーひんかった。 本を目の前にすると‥ たちまち夢中になって読み始めたから── やっぱり読書が好きなんやろな。 ウチは新木の前の方に向かい合って座っとるんやけど── 自分でも‥ 何でこの席に座ってしもたんやろ‥ て思う。 隣りやったらまだしも── 前やなんて。 何気なく選んだ本を開きながら── 時々顔を上げては新木を見とった。 その度にドキドキしてもうて‥ 本を読むどころやあらへん‥。 前へ |次へ |
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