《MUMEI》 「その刻印って──」 「御覧に──なりますか」 「‥ぇ」 アンリ様は少し躊躇った様子でしたが、小さく頷かれました。 「少々御待ち下さい」 僕はネクタイを解いて、白いシャツの釦を2つ外して開け、アンリ様に示しました。 左の鎖骨──そのすぐ下に、小さな十字架を模した刻印が彫られているのを御覧になるなり、アンリ様が目を円くされたのは言うまでもありません。 「───────」 「これは特殊な刻印で──消える事はありません。ですが‥」 「何か‥あるの‥?」 「‥いえ、只‥‥、僕はヴァンパイアでも人間でも無いのだと思うと──」 「それでもいいと思うよ?」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |