《MUMEI》

「その刻印って──」

「御覧に──なりますか」

「‥ぇ」

アンリ様は少し躊躇った様子でしたが、小さく頷かれました。

「少々御待ち下さい」

僕はネクタイを解いて、白いシャツの釦を2つ外して開け、アンリ様に示しました。

左の鎖骨──そのすぐ下に、小さな十字架を模した刻印が彫られているのを御覧になるなり、アンリ様が目を円くされたのは言うまでもありません。

「───────」

「これは特殊な刻印で──消える事はありません。ですが‥」

「何か‥あるの‥?」

「‥いえ、只‥‥、僕はヴァンパイアでも人間でも無いのだと思うと──」

「それでもいいと思うよ?」

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