《MUMEI》 頼の誘い「…祐也のせいで劇に集中できなかった」 「何でだよ」 「だって、ありえない…」 「悪かったな」 旦那様も忍も『ロミオとジュリエット』を教えてくれなかった。 (今夜問いつめてやる) 志貴の隣で、俺は心に誓った。 「まあまあ、もういいじゃん。知らなくたって死なないし」 「頼」 (珍しいな) 頼が俺をかばうなんて、今まで一度も無かった。 [でさ〜、祐也、七月十日、暇?] (やっぱりな) 頼が英語になる時は要注意だと、俺は学習していた。 [暇じゃない] [あのね、果穂さんが祐也連れてこいって言うんだよ] [お前等の誕生日にか?] 頼の言葉をあまり信用出来ない俺は、首を傾げた。 [そう。それに、厳も友達連れてくるんだよ] [俺とお前は友達なのか?] [いいじゃん、あの子も来るし] [あの子?] [祐也と同じ委員会の子] [松本…か?] [そう、その子!] (一応、頼の花嫁候補でもあるんだけどな) 頼は全く松本に興味が無いようだった。 「松本って美鈴? 美鈴がどうかしたの?」 「厳が誕生日に家に呼ぶらしい」 俺の言葉に、志貴の顔色が変わった。 前へ |次へ |
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