《MUMEI》

僕は、驚きの余り言葉に詰まりました。

「‥‥‥‥‥‥‥」

この御方は今、何と──。

「リュートは吸血鬼と人間、両方でいいと思う」

「‥アンリ様──‥」

僕が刻印を彫ったのは、アンリ様の執事になる少し前──。

それまではまだ、僕は完全なヴァンパイアでした。

初めてアンリ様の血を頂いた時もそう。

ですが何故か、この御方の御側に居るには完全なヴァンパイアのままではいけないような気がしたんです。

その時はまだ、この気持ちには気が付いていませんでしたが──。

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