《MUMEI》
志貴の心配
「それって、危なくない?」

「何が?」

「美鈴の体が」

「…どういう意味?」


(だって松本は厳が好きなんだし)


もし、二人が体の関係を持ったとしても、何の問題も無いはずだ。


[あの子、初めてだろ? それが、友達や身内がいる家でって、…可哀想じゃない?]

[そういうもんか?]


忍が見ていても旦那様と平気でヤレた俺にはいまいちよくわからなかった。


「…美鈴、好きな人の近くにいるだけで緊張するタイプで、この前も、『キスされたら死んじゃうかも』って…」

「死ッ…!?」


(どんだけ純情なんだ?)


外国育ちの厳にとってはキスなんて挨拶がわりだろう。


[あ〜、じゃあ、キス以上一気にされたら大変だな〜

あいつはしつこいし、タフだから、気絶するな、確実に。

相手が気絶しても腰止まらなそうだし]


(やっぱり絶倫なのか!?)


松本も、厳も


…ある意味、イメージ通りすぎる。


「だから、祐也、ストッパーになってよ。厳の」

「お前がやれよ」

「俺、主役だし?」

「仕方ないわね」

「やった!」

「ちょ、待て! 何で志貴が返事してるんだ」

「人助けよ、祐也」


「…」

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