《MUMEI》 友達春―。 春の香りがする。 広い広い土地の中で・・。 「ここが○×か」 かわいい制服だぁ。 この市はすべてこの学校のもの。5年前まではここにたくさんの人が住んでいたのだ。でも、その形のまま買収され、この学校のものになった。住居は中に家電などが残っているものもあれば、そうでないものもある。 「あの・・校舎どこですか?」 背の高い男の人が私に言う。 「えっと・・私も新入生何で…」 「そうですか…」 「あっでも、ここに一人一人リムジンが来るって言ってましたけど」 「そうですか。って敬語やめない?」 「はい」 「うん」 「俺、齊條 琉生(さいじょう るい)。おまえは?」 「あたし・・紺野 夏鈴(こんの かりん)」 「かりんって言うんだ。珍しい。漢字は?」 「夏の鈴って書くの」 「夏生まれなんだ?」 「そう。8月28日」 「えっ、マジで?」 「何?」 「俺・・8月28日生まれ…」 「本当ッ!!奇跡だね」 「運命かも」 「すごいねッ」 「夏鈴様」 「琉生様」 リムジンの中から出てきた男の人2名。 「えっと、紺野 夏鈴様の運転を担当する水島です、よろしくお願いします」 「齊條 琉生様の運転を担当させていただきます、篠原です。よろしくお願いします」 私はリムジンに乗った。琉生も違うリムジンに。 「夏鈴様何かお飲みになりますか?」 「飲み物なんてあるんですか?」 「ここから、車で2時間もあります。何でもあるので行ってください。食べ物もありますよ。なので、朝食をここでお食べになられても結構です」 「便利ですね」 「ありがとうございます」 「じゃあ・・コーラありますか?」 「ありますよ。少し待ってください。レモンはお付けしますか?」 「はい」 「どうぞ」 「ありがとうございます」 「この中でお休みになられても結構なので」 「はい」 「その前に・・今日はいろいろと説明があるのでよろしいですか?」 「はい」 「夏鈴様は入学式の内容をご存じでいらっしゃいますか?」 「いえ」 「入学式はまず、入学後試験を終えてからなのです」 「入学後試験ですか?」 「自分の家をこの間から探すのです」 「えっ・・お金も支払うんですか」 「はい。しかしどの家も、一か月の家賃は同じです」 「どのくらいですか?」 「100robotです」 「robotって?」 「通貨の単位です。日本国の『円』と同じ額になります。100robot=100円ということです。しかし、この中では円はrobotに変えないと使えません」 「えっ・・まだ、robot持ってないんですけど・・」 「では急いで銀行で通帳などを作ってもらわなくては・・この近くに銀行があるのでそこへ行きましょう」 「はい」 「すみません」 「はい」 「通帳を作りたいんですけど・・」 「新入生の方ですか?」 「はい」 「では、6ケタの生徒番号を書いていただいてそのあとに自分の誕生日を」 「はい・・2232990828っと・・」 「では初めの額は15000robotとなります」 「ありがとうございます」 「貯金しますか?」 「じゃあ2500robot貯金します」 「かしこまりました」 「お嬢様、お急ぎになられないと・・」 「はい・・」 「robotはどのくらいお持ちになりましたか?」 「12500です」 「ちょっと厳しいかもしれません」 「何でですか?」 「学校中で美女や美男子を決めるスクコンが開催されるので・・その時の衣装を買うのです」 「スクコンって・・。衣装が必要なの?」 「そうです・・でも、学校に用意してあるのでそれを買っていただければ」 「どれくらいですか?」 「1000robotくらいです」 「だったら平気」 「そうですね」 「お嬢様、何かお食べになりますか?」 「いえ。大丈夫です。質問してもいいですか?」 「はい」 「何でこの学校に通うためにはリムジンを運転するんですか?」 「この学校は敷地面積が広く、坂などもあり、学校に通うのが大変だったからです。」 「そうなんですか」 「タクシー通学のおかげで生徒も遅刻しずらいし、便利な訳です」 「でも、このリムジンの料金って」 「もちろん、学校側が負担しているのです」 「本当ですかッ!!」 「はい」 「良かった」 「お嬢様、もうすぐ着きますよ」 前へ |次へ |
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