《MUMEI》

「ねぇ、最近‥疲れてない?」

庭園の散策に御付き合いしていた時、アンリ様がそう御尋ねになられました。

「顔色もよくないみたい‥。お部屋で休んだ方が──」

「いえ、御心配無く。‥ベンチに──御掛けになりますか」

「うん。──少し‥薔薇を眺めてもいい?」

「はい、勿論」

僕は微笑んで答え、アンリ様の手を引いてベンチの方へと向かいます。

「‥‥‥‥‥‥‥」

「大丈夫‥?」

「はい、僕は元気ですよ」

体は何ともありません。

ただ‥心が時々痛むんです。

この痛みが消えるのは‥いつなのでしょうか──‥。

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