《MUMEI》 アンリ様は何かを察されたのか、広間へ僕を連れて来て下さったのですが── 「アンリ様、あの‥何を──‥」 「あのね、紅茶を淹れるの」 にっこりと微笑みかけ、アンリ様はキッチンへ入って行こうとします。 「御待ち下さい、アンリ様にそのような──」 雑務をして頂く訳には参りません──そう言うより先に、 「淹れ方なら、リュートのを見て知ってるから大丈夫」 アンリ様は、にこやかに僕の言葉を遮られたのです。 前へ |次へ |
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