《MUMEI》

何かに顔をつつかれて、オレは目を覚ました。

「あぁ…? ここって、どこだ…?」

「あ、起きましたか」

ん? 少し考えろ。隣にいるこの女性は誰だ?

「お顔を突っついてもなかなか起きませんから、意地になってずっとつついてしまったじゃないですか」

そんなこと言われても、オレ意識無いもん。分かんないもん。

とにかく、今知らなければいけない情報が沢山ある。それを一つずつ処理していこう。

「まぁそんな事はどーでもいい。まず聞きたいんだが、ここどこ?」

その問いに女性は、丁寧かつ簡潔に答えた。

「ここは私の家ですよ」

「ふむ…。じゃあさ、ここってどこ?(地理的な意味で)」

それにも丁寧に答えてくれた。

「私の家です」

いや、そういうんじゃなくて。

「いや、だから、ここってどこ?(地理的な)」

「私の、家です」

こいつふざけてんの?

「アンタにビンタしてもいいかな?」

「ええっ!? 暴力はダメですよぅ!」

「うん、もういい。この辺の地図ってある?」

それならありますよ、とどこからか筒状に丸められた紙を出してきた。

今どの位置にいるか確かめるため、その紙を広げた。

そこからオレの物語が始まったらしい。

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