《MUMEI》

◆◆◆

「何‥言ってるの‥?」

「散ったらそりゃお終いかも知んねーけど‥まだ花びらは残ってんのもいくつかあるだろ」

そう言ったら‥

玖珠は墓石の前にしゃがみ込んだ。

「‥祖父が好きだったの」

「‥ぇ」

やっぱり祖父さんだったのか‥。

「私がまだ小さい頃‥お彼岸になると‥祖父に連れられてあの墓地にこの花を手向けに行ってた。その時の緋色は‥今でもよく覚えてる。──祖父は‥お供えする為の花だからって言ってたけど、本当は好きだったの。私も初めは‥好きって訳じゃ無かったわ。‥‥‥でも‥」

「もう言うな」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「もう言わなくていい。祖父さんの前で泣くな」

「‥‥‥ぇ‥?」

◆◆◆

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