貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》傷跡と旅立ち
俺はひとまず、研究所へと戻った。
機体から降りその場で膝をつく、身体・精神共に限界だった。
親父が来る。
「やり方に問題はあったが、まぁ良しとしよう。機体はすぐ修理させる。ご苦労だった。」
息子が命懸けで戦ったってのにかける言葉はそれかよ…
俺は親父を軽蔑しながらもその場で気を失った。
目が覚めたのは自分の部屋のベッドの上だった。誰か運んでくれたのだろうか、やがて階段を上がる足音が聞こえてくる。
姿を現したのは比奈だった。
「あ、起きたんだ。よかったぁ」
「比奈…?お前、どうして…お前が運んでくれたのか?」
「えっと…シェルターに避難してたんだけど、芥君の姿が見えなかったから心配で…」
「まさか、あの中に出てきたのか!」
「へ?私が出た時はなんかもう軍の人達が来てて、とりあえず研究所に行ったら芥君が倒れてたからおじさんが面倒みてくれって」
親父がそう指示してくれたのは意外だった。俺を放って機体の修理に行く程、血も涙も無いわけじゃなさそうだ。
「街は…どうなったんだ」
「ひどいよ、いつも走ってた河原の散歩道も、2人でよく遊んだ公園もみんなめちゃくちゃになっちゃった」
比奈の瞳が少し潤んだ。それを見た俺は何と声をかければいいのか、分からなかった…
しばらく休んだ後、研究所に足を運んだ。地下研では修理作業が着々と進んでいる、受けたダメージは殆ど消え、今は電気系統のチェックを行っていた。
「身体は大丈夫のようだな」
「ああ」
「明日、この機体を統合連邦本部へ輸送する」
「…そうか」
「お前はどうする?」
「何…?」
「この最新機を一番上手く扱えるのはお前だけだ。」
「軍に入れって言うのかよ」
「そうじゃない、お前にこの機体のレクチャーをして欲しいんだよ」
「俺が教えられることなんて無いさ。」
「とにかく、明日までによく考えておくんだな」
親父はそう言うとさっさと作業へと戻っていった。
「誰が…言いなりなんかに」
だが、俺は正直迷っていた。
今のままでいいのか…と
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