《MUMEI》
出会い 3
取りあえず弘一は席に着いた。自分の座る場所には、ネームプレートの様な物があったので、すぐにわかった。隣に座っていた男が、真っ先に話し掛けてきた。
「何処からきたの?」
「え?あぁ、大阪や。」
「へぇ。なんでまたこの学校に?」
「大阪以外の場所に進学すんの、親に反対されてん。そんで、親戚に頼んで説得してもろた。ここには従兄妹が通うから心配いらんってな感じでな。」
「何か複雑な事情だなぁ。ところで名前は?」
「戸田弘一。」
「ヒロカズか。俺は広田勇介。よろしく。」
「こっちこそ。」
そう言いながら、弘一は勇介の手をとった。
「そういえば、親戚って誰?この辺の子?」
「弘瀬七海って奴や。知っとるか?」
「あぁ、知ってる。結構有名だよ。」
「有名?何がや?」
「美人だから。」
勇介はニヤニヤしながら答えた。
「俺の周りでも、結構玉砕された奴いるよ。」
「贅沢な奴やな。」
今度は二人で笑った。そうしていると、廊下から怒鳴り声が聞こえた。

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