《MUMEI》 「お待たせ」 アンリ様は並々と紅茶を注いだティーカップを手に、僕の元へ御戻りになりました。 「飲んでみて」 差し出されたティーカップを受け取ると、零さないように気を付けながら一口含みました。 「───────」 「‥ごめん、美味しくなかった‥?」 「いえ、美味しいですよ」 いつもは御出しする立場なので、僕は今まで紅茶を飲んだ事がありませんでした。 僕が飲んできたのは、あの赤い液体だけ。 ですが、この紅茶という飲み物も、なかなか美味しい物なんですね──。 前へ |次へ |
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