《MUMEI》

晩餐の支度をして参ります、と言ってその場を離れ、僕は再びケーキの生地を混ぜていました。

「──アンリ様‥」

目に浮かぶのは、あの御方の優しい笑顔。

整った顔立ちに、碧い円らな瞳、長い睫毛‥ふんわりとした、長い金色の髪。

そのどれもが、愛しくて堪らない。

こうして仕事をしている時でさえ、僕はあの御方に心を奪われてしまっているのです。

許されない、そう分かっていても。

もう、抑える事は出来ないのです。

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