《MUMEI》

アンリ様が広間へ御出ましになられ、パーティーの始まりです。

といっても、2人きりなので‥あまり賑やかではありませんが。

それでも、アンリ様は楽しそうにして下さっているので嬉しいです。

「ぁ‥」

歌を歌った方が宜しいのでしょうか‥。

「アンリ様、あの──」

「無理しなくていいよ」

「ぇ‥」

「これだけの御馳走を用意してくれたんだもの。それだけで十分」

「──宜しいのですか‥?」

「うん」

アンリ様は仰ると、キャンドルの火を吹き消されました。

僕はそれを見届けると、一旦引き返します。

「少々──御待ち願えますか」

「?」

「アンリ様に──プレゼントがございます」

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