《MUMEI》

ケーキをひと切れ、御皿に取り分けて差し上げると、

「ありがとう」

アンリ様は1口含み、花のように軟らかな笑みを浮かべて下さいました。

「御味は如何ですか?」

「美味しいよ。とっても美味しい」

「ありがとうございます」

アンリ様に美味しいと言って食べて頂けるのなら、本当に嬉しいです。

「有り難うございます──」

「お礼を言うのは私の方だよ」

「‥?」

キョトンとする僕に、アンリ様は微笑みました。

「こんなに楽しい誕生日パーティー、初めて」

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