《MUMEI》

アンリ様は色々と御召し上がりになりながら、

『美味しい』

そう何度も仰って下さいました。

最後に紅茶を御出しすると、アンリ様はいつもの角砂糖では無く苺のジャムを入れられたので、不思議に思っていると、

「私ね、こうして飲むのも好きなの」

そう仰られました。

「そうなんですね──」

「他にもね、蜂蜜を入れても美味しいの」

「成程──」

どうやら、角砂糖を入れるだけでなく、紅茶には色々な飲み方があるようです。

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