貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い《MUMEI》百合と少女
潔白に包まれし空間に在りし者は花と幼女
主の話を聞くは神の化身
惑わすのは過ぎし苦難現の夢
光に覆われた空間に
たった一つの小さなドア
少女が其の先へ進むと
其処に存したのは一輪の花
少女は言った
こんにちは
百合が言った
はじめまして
少女は百合の清さに驚いた
百合は少女の幼さに驚いた
百合は言った
私は死した
少女は問うた
それは何故?
百合は嗤った
人を殺め
金を盗み
生き永らえていた
故に蔑まれ
故に罵られ
気付けば私は死していた
この世で知った
我は人で在りて
心を持たぬ恐ろしい鬼と
聞きし少女は首を振る
貴方は幾度の罪を認めた
汝の掌は穢れていれども
心は真に白きなり
故に主は人で在り
己が罪を受け止め
悔う姿こそが百合の如く
潔く甚だ優美なり
百合は泪する
目に映えむ雫は泪
少女の瞳に在りしは涙
身体を亡くした今頃に
貴女が申し言の葉に
慈しみを感じて涙する
百合の心は真っ白でした
少女の心は寛大でした
何時たりとも
最期が幸になる
とは限らない
善を求めた先に悪が在る様に
光を得た先に闇が待つ様に
すべてが上手くいく筈がない
光に覆われた空間に
たった一つの小さなドア
少女が其の先へ進むと
待っていたのは一輪の花
前へ
|次へ
作品目次へ
無銘の作品を探す
無銘文庫TOPへ