《MUMEI》
戦術的なお話
これはとある紛争のとても偉大な傭兵のお話。



「ああ、晴れ渡る空、流れる白い雲…。こんないい天気の日にゃ昼寝が一番だ。そうだろう?」

青年はそう言って、中央に近いビルからこの街全体を囲う塀を見た。

「うん、とっても立派な壁だ」

高さは2〜3m、厚さは50pほどあるだろう。よく戦争に巻き込まれるため、随分昔に造られた塀だそうだ。

だが今回は、巻き込まれるのではなく、ここが舞台になる。

この街は青年が生まれ育った故郷ではないため、彼にとってはどうでもいい所だ。

「だけど戦争が起きるって事は、それすなわち人が殺されるって事だ」

それはいただけない。目の前で何の抵抗もできない人が殺されるのは、どうしても無視できない。

「じゃあどうする? それは簡単だ」

守ればいい。

しかし今青年が連れてきている仲間の数は50人だけだ。というかそれ以上いない。

「それに対して相手の数は計り知れない。もちろん戦力もだ」

だけどここで味方が増えたところで、数の差は埋まらないだろう。

一般的には、同じ条件ならば戦争は人数が多い方が勝つ。

「けど、その差を補うのが知恵ってもんだ」

青年は不敵に微笑んだ。

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