《MUMEI》

「アンリ様──本当に‥」

「嘘じゃないよ?」

「───────」

アンリ様──‥

「有り難うございます」

僕はアンリ様の手をとり、そっと口付けました。

顔を上げた時、アンリ様の頬が薔薇色に染まっていました。

「‥申し訳ございません、つい‥嬉しくなってしまって──」

「ふふっ」

「アンリ様‥?」

「お姫様になったみたい」

「失礼では‥ございませんでしたか‥?」

「うん。──嬉しかった」

その御言葉に、僕は安堵しました。

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