《MUMEI》 「……はっ、朝!?」 気絶していたのか僕……!しかも部屋に戻って来てる……。 目覚めたら毛の中だったし……。 僕等の部屋は、千秋様が突然訪問してきたので千秋様は僕のベッドを使い僕は敷布団で眠っている。 最近、毛の量が尋常でないので燃えるゴミの日を更に分けて出さなければいけないので溜まる一方だ。 千秋様、僕がこんななのに嫌な顔一つしないで居てくれる……。 なんて出来た人間なのだろう。 そろり、と千秋様の眠るベッドへと近付く。 お疲れなのだろう。ぐっすり眠っている。 誰もが畏れ敬い称賛する千秋様が僕には眠る姿を晒して下さる。 僕、少しは千秋様と親しくなれたかな。 「……千秋様、ありがとうございます。」 眠る千秋様の背中に向かって呟いた。 昨日言えなかった言葉だ。 「無礼者!」 千秋様の咆哮と同時に腹を目掛けて蹴りを喰らった。 「……なんだ、タマか。」 「……ッ」 みぞおちにすっぽり入ったので声も出ない。 床をのたうち回る。 「そうだ、タマに良い塗り薬が有る。」 千秋様が取り出したのはいつだか塗られた物と同じような容器だ……! 嬉しそうにスプーンで掬ってみせた。 僕……喉が涸れているのにきっと今日も容赦無いのだろうな。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |