《MUMEI》 くの一麻美、万事休すか! 「降参?」 ドエス魔人の辞書に容赦の二文字はない。 麻美のような気の強い女の子を弱気な表情にして喜ぶ、名前の通りのドSだ。 「くううう…」 麻美は両目をきつく閉じ、白い歯を食いしばって必死に耐えている。 この表情が意外に色っぽく、敵を興奮させてしまう。 「お嬢、許してくださいと言えば許してあげるよん」 「だれが…」 麻美にも意地がある。あそこまで大口を叩いておいて、詰まされたからあっさり哀願して許してもらう。そんなことはできない。 「じゃあ仕方ない。お嬢、ツボくすぐり地獄行くよん」 「つぼ?」 「そう、人間にはツボがあって、そこをくすぐられたらおしまいよん」 張ったりとも思えない。麻美は焦った。 「ぐふふふ。誇り高きお嬢の慌てふためく姿が楽しみ」 麻美は魔人を睨むと怒鳴った。 「黙れ変態悪魔!」 「言ったね?」 魔人の目が光る。 「強気もいいけど、こんなことされたらどうするつもりお嬢?」 ドエス魔人は情け容赦なくツボくすぐり地獄! 「あ、やははははははは、やめははははは…」 麻美は真っ赤な顔をして暴れた。声も出せないし息もできない。 弱気な顔になり、涙を流し、口を大きく開けて悶えた。 「お嬢、降参?」 (どうしよう、失神しちゃう) 麻美は絶体絶命。 そのとき。 「痛い!」 魔人が叫び、麻美を思わず放してしまった。 「あああ!」 麻美は高い位置から地面に落とされ、一瞬意識が飛んだ。 魔人は怒りの表情で後ろを振り向く。 木の上には忍者がいた。 「また貴様かあ!」 どうやら背中に手裏剣をぶつけられたようだ。 「許さないよ」 彩は飛びながら手裏剣を投げる。ドエス魔人は機敏だ。交わすと舌を伸ばす。 「しまった!」 空中で捕まった。彩は手足をぐるぐる巻きにされた。 もがく彩。 「ぐはぐはぎひひい。まずはお顔を拝見!」 残り一本の舌が覆面を剥いだ。 「およよ」 麻美に負けない美人の彩を見て、ドエス魔人の目が危ない。 「いい」 頷かれて、彩は生きた心地がしない。 「なかなかいいよん」 「放しなさい!」 「そういう生意気なこと言うと裸にしちゃうよん」 「やってみなさい!」 彩は魔人を睨みつけたが、脅しにはならない。 「やるよん」 舌であっさり黒装束を剥ぐ。 「あっ」 彩は裸を晒した。これは危険だ。 「およよ」 あまりにも美しい若い女の裸体。美少女の健康的な肉体とはまた一味違う。 「ねえ、くの一って敵に哀願しちゃいけないって本当?」 彩は横を向いた。 「哀願するしかない状況に追い込まれたらどうするの?」 質問には一切答えない彩に、魔人は怪しい笑顔。 いきなり天を仰いで叫んだ。 「大義名分完了!」 「うるさい!」 「くの一をいじめるのは楽しみ」 「地獄に堕ちたいか?」 「ぐふふふ。くすぐりの刑だと思うでしょ。同じことはしないの」 残り一本の舌が、彩のいちばん大切なところへ伸びる。 「あっ」 まずい。彩は慌てた。師匠の話を聞いているだけに、思わず額に汗が滲む。 「行くよん。くの一が屈服することは許されないんでしょう?」 「貴様…」 「哀願も許されない。てことは、落とされそうになったときにくの一ってどうするのか楽しみ」 悪魔の本性剥き出しか。 舌が秘部に侵入。 「あ、あああ、あああ!」 彩は赤面しながらのけぞった。人間業ではない。とてもではないが耐えられない。 「あああ、あああん!」 「どうしたのくの一ちゃん?」 (屈辱!) しかしどうにもならない。このままでは屈服してしまう。 「じゃあ、トドメ刺してあげるね」 「わあ、ばか、よせ、やめろ!」 彩は暴れた。 「やめないよん。だって僕意地悪だもん」 「あああ、やめ…」 「やめてって言った今?」 「言ってない!」 「ならこういうことしちゃうよん」 「あああん!」 彩の意識は遠のいた。 (悔しい!) 前へ |次へ |
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