《MUMEI》

「…、なに、…ンぅ……ン、ンン…」
軽く合わさった唇が離れたのはほんの少しで、二回目の呼吸の瞬間、今度は深く重なってきた。

すっぽりと完全に包まれて、もがいても動けなくて。
身をよじって抵抗するが次第に体から力がくたりと抜けてしまう。
腕力の違いに諦めただけじゃなくて……、

初めての深いキスに呼吸が、感覚がついていかない。


「…ゃ、ハァ、はあ、はあ、……かな…ゃ…、かな……」
唇を再び開放されたとたん耳たぶをくちゅりと挟まれ、穴に舌が入ってきた。
熱くてぬるついた感覚、さっきまで口内を犯されていた感覚にそれは似ていて、
「欲情出来る、欲情した、俺はお前を抱ける、……抱きたい」
「聞いただけだから!も〜!金谷!ヤダって〜〜〜!!!」
首筋に触れる金谷の唇、シャツの下から大きな手が無遠慮に侵入してくる。
唇を開放されて酸素を取り込めた俺はなけなしの気力をふり絞って再びもがきだす。

「自分から誘ったんじゃん、もう諦めて、もう俺その気になりまくりだし…」



服を脱がされて
肌を撫でまわされて


涙が熱い……



違う



違う




俺は……



「ずっとこうしたかった」




「好きだ、好きだよ、勇樹」





違う




違うんだ




「知ってた?俺が勇樹が好きなの知ってた?」



違う…



……やだ…



「ヤダって〜〜〜ッツ!!修平、しゅうへい、しゅうへ………ヒクッ、修平……」

「……」
「……ヤダ…、やだ……、やだー……」

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