《MUMEI》
・・・・
 コンビニで買った湿布を腫れた頬に貼り付け、町を歩いていた。自分の足で歩いているとあの頃のことが鮮明に思い返すことが出来た。

 一体、俺は何のためにここに来たんだろうか?
 何か、期待しているのか。彼女がまだこの町にいるかもしれないと、まだ俺のことを想い続けてくれていると、そんな自分勝手な期待を抱いて・・・・望んでいるのか?
 それを。

 「どうしようもない馬鹿だよな・・・そんなこと、あるはずないのに」
 消えそうな声で呟いていた。
 目の前にはあのころからは想像もできないような集合デパートがそびえ立っている。大きすぎる駐車場には一杯に車が停められ、町の人が出入りを繰り返していた。
 「確か、あのころは小さな公園と田んぼがあっただけなんだけどな・・・変わっちまった」

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